大学院進学の世界では、「他の大学に設置されている大学院に進学する」というのは有名な進学方法です。
特に大学院に進学するひとが多い理系だと、研究室や大学名への憧れ、研究テーマに対する興味の移り変わり、生活費・学費を考慮して、ときには所属している研究室への不満などから、他の大学院に進学することを考えます。
そして、大学院に進学するひとは一般的に大学院入試(通称:院試)を受けるわけですが…
大学院入試は大学入試にくらべて簡単に入れると言われており、実際に多くの学生も他大の大学院に入学しています。
多いところでは、研究科全体の約2割が外部からの学生だったりします。
しかしながら、一方で、他大学の学生にとって大学院試は、その大学の内部生よりも不利だと言われています。
そこで今回は、『本当に他大学から院試を受けるのは不利なのか?』といわれている理由と、体験談をもとにした実態をみていきましょう。
大学院試において他大の学生が不利だと言われる理由
院試の内容が内部生寄り
大学院試はその大学の教員がつくるので、基本的にその大学教員の講義を受けている内部生が有利になります。
科目数や範囲も完全に内部生が受けてきた必修科目と一致するので、効率よく対策することができます。
したがって、大学4年間の講義情報がない外部生は不利になります。
過去問入手が難しい
院試は各大学によって問題の癖が強いので、過去問を入手すると効率が良いです。
内部生であれば、院試の過去問をもっている先輩がいることが多いので、過去問の入手は容易です。
しかし一方で、外部生は自分で過去問を入手しなければなりません。内部生とつながりがあれば良いのですが、ない場合は、大学から直接過去問を取り寄せたり、その大学生協で購入したりします。
場合によっては過去問の入手はかなり困難を極めますので、外部生は不利になります。
しかし、あとで述べるように、ホームページに過去問を載せている大学も多いです。
基本的に推薦は少ない
研究科によって異なりますが、内部生では推薦制度があり、また成績(GPA)上位の何割かは筆記試験が免除になったりします。
筆記試験免除は外部生もないわけではないですが、かなり難しいです。
よって、推薦制度により内部生が受かる確率は大きく上がる一方で、それによって定員が埋まり、外部生は少しだけ不利になります。
人気の大学では院試勉強期間を設けている研究室がある
他大へ院進する場合、人気がある大学院に進学する場合が多いです。
大学院に進学して知ったのですが、旧帝大などの大きな大学では研究室で1ヶ月~2ヶ月程度の院試勉強期間が与えられ、その間は研究活動をストップし、院試勉強に専念できるところが結構あるようです。
これはおそらく、大学院教育重視化に伴い、大学院に内部の学生をそのまま進学させようという意図があると思います。
ぼくが大学のころに所属していた研究室では、4年生の4月からバリバリ実験をやっていたので、試験勉強するための期間なんてものはありませんでした。
そういった意味で、外部生は不利になる可能性があります。
面接の差
大学院入試試験では、面接があるところが大多数です。
内部生の場合、普通にしていれば面接で点が落とされることはなく、満点扱いになるらしいです。
外部生の場合は、大学を変更した理由などを聞かれ、多少の対策が必要になりそうです。
大学院試の面接に関しては、【大学院入試面接徹底対策】大学院入試の面接のコツは「やべえやつだと思われないこと」にまとめていますので、ご覧ください。
・その他の情報の差
たとえば、英語の点数(TOEIC,TOEFLのスコアが使われることが多い)はどれくらいあれば満点扱いになるのか、面接はどれくらい考慮されるのかなどは、外部生には届きづらい情報です。
以上、外部生が不利になる理由をみてきました。確かに外部生が不利になる要素はあるようです。
まあ、内部生はその大学に4年以上前から在籍しているので内部生が有利になるのは仕方ないことだと思います。
しかし、僕の実体験からすると、外部生はそこまで不利な状況に置かれていないのではないかと思います。
その理由を述べていきます。
実はそこまで他大からの大学院入試は不利ではない理由
ホームページから過去問を入手できる場合が多い
現在では、院試の公平さを保つために、大学院試の過去問をホームページに載せている大学が多いです。とくに旧帝大などのホームページにいけば、多くの過去問を入手することができます。
ただし、中には過去一年分しか掲載していないところもあるので、注意が必要です。他大の大学院への進学を考えているひとは、早めに大学のホームページに過去問が掲載されているか確認することをお勧めします。
僕が受ける大学院では、一年分しか過去問がなかったですが、他の大学院の過去問で代用しました。
こうすることで、効率は多少悪くなりますが、幅広く過去問に触ることで確実な力が得られるので院試に合格できる力がつくと思います。
色々な大学が過去問をオープンにしていることがギャップを少なくしてくれていることから、外部生と内部生で院試有利の差異はないと思います。
過去問がなくても意外といける
大学院試の問題は基本的なことばかりで、高得点勝負になることが多いです。過去問があることに越したことはありませんが、なくてもきちんと大学で勉強した人であれば解けますので、外部生だからといって超有利になるわけではないと思います。
内部生の中にはあまり勉強していないひとが一定数いる
内部生の学生の中には、内部生も試験の点数が悪ければ落ちるにも関わらず、内部生だからと安心しきってあまり勉強しない人が一定数いるようです。
大学院の定員はおおよそ学部の定員と同じくらいですから、そういったひとが落ちてくれることで外部生も入りやすくなります。
また、就職で進学しなかったり、他の院に進学したり、そもそも大学4年間まともに勉強しておらず、就職先も決まっていない人が旧帝大などにもおられますので、そういった人が空けてくれた定員枠を外部生は有難くいただきましょう!
「外部生枠」というのが存在するらしい!
ぼくが受けたところにはなかったのですが、他の研究科の同級生に聞いたところ、外部生の受け入れに積極的なところは「外部性枠」という、一定数かならず外部性をとるという制度を設けているところがあるようです。
そうなれば、ライバルは外部生同士のみになるので、比較的簡単に希望する大学院に合格することができるでしょう。これには情報収集が必要ですので、研究室見学などを利用して聞き出しましょう。
【大学院研究室見学マニュアル】研究室見学のマナー、気をつけること、など
まとめ
今回は、「本当に外部生は院試不利なの??」について議論しました。
世間の目もあるので、大学側も院試を公平にしようとしています。
きちんとした大学であれば、過去問がオープンになっており、大学院試説明会なども行われており、
内部生と外部生の差はほとんどないと言ってよいでしょう。
むしろ、外部からの学生の方が院試の点数が高かったりするのはよくある話です(笑)
それでは院試受験予定の方、がんばってください!
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