私は奨学金を借りて大学院に進学しましたが、奨学金の返済を一部免除していただきました。
この記事の趣旨としては、「研究を頑張らなくても奨学金返済免除されるよ!」ということではなく、むしろ「研究を頑張れば、論文や学会発表が無くても奨学金返済免除の可能性があるから、頑張って!」ということであることを留意して、お読みいただけたらと思います。
・論文執筆なし、学会発表なしだけど、約100万円の返済を免除された
・奨学金返済免除されるには、『大学から推薦される』ように行動すること
※一部、筆者の推測を含みます
奨学金返済免除の概要
奨学金を借りるほとんどの大学院生は、日本奨学金機構の貸与型の奨学金を借りていると思います。もちろん貸与型なので、返さなければなりません。
私の場合、借りた奨学金は、以下の通りです。
・日本奨学金機構の第一種奨学金(無利子、貸与型)
・月々88,000円、2年間で2,11.2万円
つまり私の場合、大学院を卒業してから約200万円を返す必要があります。
一方で、日本奨学金機構の第一種奨学金には、返済が免除される制度があります。
・通っている大学において、奨学金受給者の上位30%の人が免除される
・免除される人のうち約75%の人が半額免除、約25%の人が全額が免除される
この制度によって、私は半額、すなわち約100万円の返済免除をしていただきました(残りの約100万円は返す必要があります)。
通っている大学のうち30%が免除されるということは、優秀な学生が多い大学院に通っているほど、返済免除を勝ち取るのは難しくなります(年度によっては、上位45%だったかもしれません)。
「奨学金の返済を免除されるなんて、論文とか、学会発表をたくさんしたんだろうな!」と思われるかもしれませんが、冒頭で述べたように、私は論文は学位論文(修論)だけですし、学会発表はゼロです。
そんな私が、奨学金返済免除を取れたのは、偶然ではないと思います。その理由を、以降で説明していきます。
返済免除者はどのように選考されるか
日本奨学金機構の奨学金返済免除申請時には、以下のような項目の申請書を提出します。
- 学位論文その他の研究論文(学会発表を含む)
- 特定の課題についての研究の成果
- 試験及び審査の結果
- 著書,データベースその他の著作物
- 発明
- 授業科目の成績
- 研究又は教育に係る補助業務の実績(TAやRAなど)
- 音楽,演劇,美術その他芸術の発表会における成績
- スポーツの競技会における成績
- ボランティア活動その他の社会貢献活動の実績
これらの項目のうち、多くのひとは1, 6, 7くらいしか書けないと思います。私もそうでした。
このような申請書があると、多くのひとはこの項目で高い点を取ろうとしますが、私はこの申請書は本質ではないと思っています。
では、何が本質なのかと考えるかというと、申請書の点数ではなく、『大学から推薦されるか』です。これまでの統計によると、大学から日本奨学金機構に推薦された場合、ほぼ免除されているようです。
大学から推薦される≒返済免除
つまり、日本奨学金機構に認められるかというよりは、『大学に推薦されたかどうか』で免除されるかが決まります。
※ここからは推測です
もっと言うと、『大学』はどうやって推薦する学生を決めているかというと、当然、『大学教員の誰か』が決めています。すなわち、大学教員に研究内容や授業内容が良いと評価されれば、免除されるわけです。
実際、どのように推薦者を決めていくのかは分かりませんが、例えば各教員が推薦枠を持っているとしたら、推薦を受けるには、特定の教員に認めらえるだけでよいのです。どの教員に認められやすいかというと、どう考えても『指導教員』もしくは『研究室のボス』です。
つまり、言い換えると、指導教員の推薦枠、もしくは研究室内での競争だということになります。
もちろん、申請書の合計点をしっかりと出して、点数の上位のひとを推薦しているのかもしれませんが、研究内容とかは、点数にしづらいですよね。研究内容に点数を付けるということは、結局、教員が判断しているわけです。
競争率が低かっただけでは?
上記を受けて、私が返済免除を受けられたのは、以下のような理由から「単に競争率が低かったのでは?」と思うかもしれません。
・申請者が少なかった
・コロナウイルス流行のせいで、他のひとも学会発表してなかった
・大学に優秀なひとが少なかった
申請者が少なかったかどうかは分かりませんが、同じ研究室の同期は学会発表、論文(ちゃんとした学会)を書いているにもかかわらず、申請が通っていなかったことを考えると、申請者数が理由ではないと思います(推測ですが、むしろコロナウイルス流行の時期だったので、申請者数は多かったのではないかと思います)。
コロナウイルス流行の時期だったので、学会発表の機会が従来よりも少なかったのは間違いないです。しかし、している人は複数回していたので、これも理由ではないかと思います(多少、競争率は下がったのかもしれませんが)。
また、私が通っていた大学院はいわゆる旧帝大なので、周りはめちゃくちゃ優秀です。私はポンコツな方でした。
学会発表、論文がなくても返済免除を勝ち取る方法
では、私が返済免除を取れた理由について述べます。簡単にいうと、以下の2点かなと思います。
・『指導教員』に学位研究が評価された
・授業の成績が良かった
私の所属する研究室の指導教員は、良く言って極端に放任主義でした。学生が研究テーマ創出からやり、ゼロから研修活動を始めていました。その間、指導教員からはアドバイスすらほとんどもらえませんでした(ちなみに先ほど述べた同期は、他の先生に面倒を見てもらっていました)。
その分、学位研究(修論)に関しては、かなりオリジナリティが出たと思います。ゼロから新規性を求めましたから…
そういう言意味で、学会発表、論文発表はできませんでしたが、研究活動は頑張りました。
それが指導教員を始め、専攻内の教員には多少評価されたのだと思います。したがって、教員の推薦枠を取れ、先ほど述べたように返済免除を受けることができたのではないかと推測しています。
また、私は授業の成績が良かったので、申請書の点数も低すぎたわけではないのだと思います。おそらく、申請書の項目の点数はそれほど差がないので、学会1回分くらいの点数があったのかもしれません。
しかし、ご存知かもしれませんが、大学院で高い評価の単位を取るのはかなり簡単です。なので、周りとあまり差がついてない気もします。
返済免除を勝ち取るためには
・真面目に取り組んで書ける申請書の項目を取りに行く
本質は教員に推薦されることだと述べましたが、申請書が悪すぎると推薦されない気がします。
もし研究が上手くいってないとしても、申請書の項目のうち、研究の進捗関係なく書けるところは真面目に取り組みましょう。具体的には、授業やTAなどになると思います。
・申請書を本気で書く
読み手は教授であることを意識しましょう(実際には教員が読むかは分かりませんが、推薦されたら返済免除の可能性が高まります)。
私は特に、学位研究の欄はしっかり書きましたし、授業評価の欄には「優秀な成績である」と自分で書いた気がします。
少しでも可能性があれば、申請しよう
私は学会発表しておらず、論文も書いていないので、正直、「ま~、免除されないでしょ…」と思いつつも、ダメもとで申請しました。
免除通知が来たときは、かなり嬉しかったですし、非常に助かっています。申請しておいてよかったな~と心から思います。
逆に、申請しなかった時のことを考えると、ゾッとしますね。
この記事で書いたことは私の推測の部分も多いですが、こんな自分でも実際に返済免除されましたので、
少しでも可能性があると思ったら、研究を頑張ったうえで、申請してみてください。
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