理系学生の就職先は?と聞かれて真っ先に思い浮かぶのが,メーカーですよね.
しかしながら,理系だからといってメーカーだけに絞ってしまうのももったいないです.
確かに日本は製造業が盛んな国ではありますが,メーカー社員の給料は必ずしも高いとは言えません.理由としては,製造業はITやコンサルティングなどと比べると利益率が低く,また従業員数が多いことが挙げられます.
実は,理系の大学院生はメーカーでなくても色々な業界に就職することができます.
そこで,この記事ではメーカーを含めた,『理系でも考えてみるべき業界』を理系就活生目線で紹介します.
紹介する業界は以下の通りです.
・メーカー
・インフラ(エネルギー,運輸)
・IT系
・金融系
・研究所
・その他
※順番は上から「理系が就職する割合が多そうな順」です.
メーカー
理系大学院生の採用人数が最も多いのは,やはりメーカーです.
東洋経済の「大学院卒の採用が多い会社」ランキングTOP200によれば,大学院生の採用が多い会社の上位はメーカーが占め,続いてエネルギーインフラ会社という感じです.
業界ごとの総売上も,メーカーが一番多いです.また,理系に人気な理由として他の業界よりも研究開発を行う人数が多いことが挙げられます.
メーカーと言っても,様々です.
製品メーカー
機械,精密機械,家電,電機,自動車,建築・土木,化粧品,生活用品,食品,医薬品 など
素材メーカー
鉄鋼,非鉄金属,化学,繊維,ガラス,ゴム,セメント,紙,バルブ など
花形
中でも,電機や自動車は人気な傾向があります.最近で言えば,電機ならソニーや日立,自動車ならトヨタ自動車やホンダが人気ですね.ただし,ソニーと日立は電機以外の事業割合が大きいので電機メーカーとは言えないかもしれません.
女子人気
また,女性の理系大学院生からは化粧品,生活用品,食品,医薬品が人気ですね.特に,明治グループやサントリーグループ,森永製菓,位味の素,花王,資生堂などが人気です.
企業分析してる人に人気
就活の中で企業分析をしっかりと進めている人には,素材メーカーは利益率は高くないものの業績は安定していることに気づき,素材メーカーに魅力を感じるかもしません.電子部品なら村田製作所やTDK,化学なら三菱ケミカルや東レなどがありますね.

インフラ
メーカーの次に理系大学院生の視野に入ってくるのが,インフラ企業です.
エネルギーインフラ
エネルギーインフラとしては,電力,ガス,石油などのエネルギー事業を行う企業があります.
インフラ系企業の絶対的な強みは,事業が無くなりにくいことです.エネルギー形態として電力への移行が進んでいるように見えてしまいますが,ガスや石油は今後も絶対必要なエネルギーです.
とはいえ,「エネルギー事業を行っているものの,インフラを持っていない」企業の移り変わりは早いので,安定度を求めるならエネルギーインフラ(プラントや発電所,ガス管)などを所持している企業に入社したいところですね.
理系大学院生を多く採用している会社としては,中部電力や東京ガス,九州電力などがあります.
エネルギーインフラ会社の仕事として保守・管理ばかりをイメージしがちですが,理系の仕事としては少数ですが研究開発の仕事もあります.また,大手電力会社の給料は大手自動車メーカーと同じくらい高水準です.

運輸インフラ
エネルギーインフラと同様,鉄道,空運,海運,陸運などの移動を提供する会社も無くなりにくいです.
…と言いたいところですが,コロナウイルスの影響でJRやANA,JALなどの企業は業績が悪化しました.
JRもANAやJALも2020年までは就活生から大人気の企業でしたが,コロナウイルスの影響もあり2021年度は採用人数を大幅に減らしています.
一方で,日本郵船や商船三井の利益は増加(売上は減),ヤマトホールディングスや日本通運の売上・利益は増加しています.

IT系
IT系は,近年最もホットな業界であり,今でも働き方が刻々と変化しています.
ITと言っても,ソフトウェア,情報処理,インターネット・電話通信など,様々な仕事があります.仕事によって必要な技術は全然違いますから,自分が一番関わりたい技術を必要とする会社を選ぶと良いでしょう.
IT系は利益率が非常に高い業界なので,会社によってはかなり給料が高いです.しかしながらIT系は競争が激しいため,給料が高いのは一握りの企業であり,ほとんどは自動車や電機メーカーの給料に負けてしまうのが現実です.
IT系のメリットの一つとして,都会での勤務が現実的になります.メーカーやインフラ会社の場合は高い確率で田舎での勤務になりますから,都会で働きたいひとはIT系企業を目指すと良いでしょう.
人気なIT系の会社としては,楽天,NTTデータ,日立製作所などがあります(最近の日立はIT系の売上が最も多いです).外資系を含めるなら,Googleやアマゾンジャパン,日本マイクロソフト,日本オラクル,アップルジャパンなどが人気です.
KDDIやNTT系列は,採用人数か多めですし,NTT研究所という選択肢もあります(ただし,博士号が必要もしくはエリートしか入社できないと思います).
とはいえどんな会社でもIT技術は必要ので,IT系の仕事をやりたいからと言って上記の会社に入る必要はなく,例えばメーカーやインフラ企業でもIT系の仕事はたくさんあります.会社の製品に対してIT技術を施したいと考えているひとは,メーカーに就職するのもありですね.

金融系
銀行,証券,生命保険,損害保険などは何となく文系から人気なイメージがありますが,一定数,理系も求められています.
特に,銀行はあらゆる面でIT化が必要ですし,証券会社なら金融商品のアナリティクス,保険会社なら収益率の高いプランの研究などが必要です.むしろ,最近はこういった仕事がカギを握っていると言っても過言ではありません.
理系には『良いものを見つける研究』を行う力が強いひとが多いですから,枠は少ないものの必要とされています.
データ分析や数字を扱うことが好きなひとには向いていると思います.
銀行は一般職の採用人数が減少していく一方で,総合職や理系職は増やしていく可能性がありますから,結構チャンスがありそうです.おそらく,証券や保険も同様なのではないでしょうか?
あさがくナビ:メガ銀採用半減の衝撃!就活の業界勢力図が変わる?【今週のイチ押しニュース】
とりあえず,全体的に給料は高い傾向にあります.金融系の給料はメーカーやインフラ,運輸よりも上位につけています(参考:CLABEL【2021年最新版】業界・業種別平均年収ランキング【令和版】)

研究所
就職はするけど,研究は続けたいと考える理系大学院生の方は多いです.
国立研究機関もあれば,民間企業の研究施設で働くという選択肢もあります.
国立研究機関
・理化学研究所
・高エネルギー加速器研究機構
・宇宙航空研究開発機構
・国立環境研究所
・大学の研究所
など
民間企業研究所
・NTT研究所
・豊田中央研究所
・日立研究所
など
民間企業の研究所はあくまで企業なので,給料は企業の水準であり,また会社員の中でも研究力が高い人しか配属されないですね.
もっと研究所について知りたい方は,研究職の考え:研究職になりたいあなたへ。研究所は日本に200以上あります。をご覧ください.

その他
上記したもの以外にも,理系が活躍できる業界はたくさんあります.
・コンサルティング
・商社
・放送・新聞教育
・不動産,住宅
・広告,出版,印刷
・百貨店
・アミューズメント
など
コンサルティング
コンサルティングは業界給料ランキングでもNo.1です.アクセンチュア,野村総合研究所が人気ですね.
かなり,優秀な学生しか入社できないイメージです.コンサルに関しては文系,理系は全く関係ありませんね.むしろ,理系の仕事の方が多そうです.
商社
商社も同様,人気な業界ですね.最近は理系からも人気みたいです.ずっと三菱商事が人気No.1でしたが,最近は伊藤忠商事の業績が良いので人気ランキングが入れ替わるかもしれません.
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