ホモロジー群の求め方【位相空間】

物理学

少しだけホモロジー群について勉強させていただいたので、線形代数を用いたホモロジー群の計算方法について述べる。

ホモロジー群

ここでは,位相幾何学における基本的な量であるホモロジー群の,いくつかの図形に対する計算例について述べる.ホモロジー群を理解するには境界写像について理解する必要があるが,ここではホモロジー群の計算方法についてのみ述べる.
ホモロジー群は位相空間の連結性や穴に関係がある.たとえば,0次元ホモロジー群H_0の次元は連結成分の数に対応しており,1次元ホモロジー群H_1の次元は1次元的なループによる穴の数,H_2は面による囲まれる3次元空間上の穴の数に対応している.つまり,ホモロジー群を調べることで,その位相空間の境界要素の数や穴の数を知ることができる.

ホモロジー群の定義

位相空間Kのk+1次元鎖群C_{k+1}(K)に対する境界写像\partial_{k+1}の像をB_k(K)=Im(\partial_{k+1})とおく.また,k次元鎖群C_k(K)に対する境界写像\partial_kの核をZ_k(K)=Ker(\partial_k)とおく(境界写像\partial_kは,その境界成分を取り出す作用素を意味する).
このとき,以下の式で表される剰余群H_k(K)をk次元ホモロジー群と呼ぶ.

(1)   \begin{equation*} H_k(K) = \frac{Z_k(K)}{B_k(K)} \end{equation*}


つまり,ホモロジー群H_kB_kによるZ_kの商ベクトル空間であり,その次元はdim(H_k) = dim(Z_k) -dim(B_k)である.
ここで,nを行列\partial_kの列数とすると,次元定理より

(2)   \begin{equation*} {\rm dim}(Z_k) = {\rm dim}({\rm Ker}\partial_k) = n - {\rm rank}\partial_k \end{equation*}


であり,また

(3)   \begin{equation*} {\rm dim}(B_k) = {\rm dim}({\rm Im}\partial_k) = {\rm rank}\partial_{k+1} \end{equation*}


であるから,ホモロジー群の次元は

(4)   \begin{equation*} {\rm dim}(H_k) = n - {\rm rank}\partial_k - {\rm rank}\partial_{k+1}  \end{equation*}


と求まる.

今回は,1次元的なループによる穴の数に注目するので,H_1のみを計算していく.

穴なし三角形のホモロジー群

以下の図のような三角形のホモロジー群を求めてみる.ただし,この三角形の内部は平面で覆われている・直感的に,穴は0個なのでH_1=0となるはずである.

Fig. 三角形

この図において,v_i(i= 1,2,3)はノード,e_i(i= 1,2,3)はリンクを表す.
まず,2次の境界写像について考える.
三角形の面に対して,その2次の境界の辺をとる操作,つまり2次の境界写像(鎖群C_2から鎖群C_1への線形写像)を,以下のように行列表示する.

(5)   \begin{equation*} \partial_2 = \left(     \begin{array}{c}       1  \       1  \       1      \end{array}   \right) \end{equation*}

この行列の列番号は面番号を表し(今回は面は一つなので1列),行番号はリンク番号を表している.各成分の値は,面の境界を一周する方向なら1,反対なら-1,境界がそのリンクを含まないならば0である.つまり,今回の場合,面に対する境界のサイクルはe_1 + e_2 + e_3であることを表している.
また,1次の境界の点をとる操作,つまり1次の境界写像(鎖群C_1から鎖群C_0への線形写像)を,以下のように行列表示する.

(6)   \begin{equation*} \partial_1 = \left(     \begin{array}{ccc}       -1 & 0 & 1 &       1 & -1 & 0 &       0 & 1 & -1     \end{array}   \right) \end{equation*}

この行列の列番号はリンク番号を表し,行番号はノード番号を表している.各成分の値は,ノードにリンクが入ってくる方向の場合は1,出ていく方向の場合は-1,そのノードとリンクがつながっていない場合は0である.たとえば,ノードv_1に注目すると,リンクe_1が出ていく方向,リンクe_3が入ってくる方向につながっているので,1行目は(-1 0 1)となっている.

さて,これらの行列より,式(4)から

(7)   \begin{equation*} {\rm dim}(H_1) = n - {\rm rank}\partial_1 - {\rm rank}\partial_2  = 3 - 2 - 1 = 0  \end{equation*}


となり,1次元的なループによる穴の数が0個であることがわかった.

穴あり三角形のホモロジー群

次に,以下の図のような,穴が空いた三角形のホモロジー群を調べる.リンクとノードの番号は,図の通りである.

Fig. 穴あり三角形

先ほどと同様に考えると,2次の境界写像と1次の境界写像の行列表示は以下のようになる.

(8)   \begin{equation*} \partial_2 =  ^{t}\left(     \begin{array}{cccccccc}       1, & 1, & 1, & -1, & -1, & -1, & -1, & -1\     \end{array}   \right) \end{equation*}

(9)   \begin{equation*} \partial_1 = \left(     \begin{array}{cccccccc}       -1 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 &       1 & -1 & 0 & -1 & 0 & 0 & 0 & 1 &       0 & 1 & -1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 &       0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & -1 & 0 &       0 & 0 & 0 & 1 & -1 & 0 & 1 & -1 &       0 & 0 & 0 & 0 & 1 & -1 & 0 & 0      \end{array}   \right) \end{equation*}

これらより,1次元ホモロジー群は

(10)   \begin{equation*} {\rm dim}(H_1) = n - {\rm rank}\partial_1 - {\rm rank}\partial_2  = 8 - 5 - 2 = 1 \end{equation*}


となり,穴が一つ存在することがわかる.

ホモロジー群を計算することは境界の数,穴の数を調べるために有効であるが,計算過程からわかるように,ノードの位置関係,もしくは面の形がわかっている必要がある.ホモロジー群からアプローチすることは,ノードの位置関係は分かっているが境界要素と穴の数が一見わからないような位相空間に対しては有効であるが,今回のように単純に図形の穴を見つける問題に対してわざわぜホモロジー群を計算するのは非効率である.

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