
最近,「大学院」っていうのがあるのを知ったんだけど,大学とどう違うんだろう??

「大学」と「大学院」は名前は似ていますが,実は全然違うものです.
それでは,この2つの違いについて紹介します.
大学と大学院の基本情報
まず,大学と大学院の基本を紹介したいと思います.
高校卒業からの流れは,以下のようになっています.

ただし,これはあくまで多数派のパターンで,高専(高等専門学校)から大学に編入するひとや,大学が6年間ある人など,様々です.
また,この図の「卒業」と書いているタイミングで就職するひとが多いです.
どこまで進むかは,個人の自由ですね.
次に,大学と大学院の在籍期間の違いについて簡単に紹介します.
・大学
4年制大学に通うひとが一番多いです.ただし,学部によっては6年間あったり,短期大学なら2年間だったりします。
高校から大学卒業までをストレート(浪人や留年なし)で進んだ場合,大学卒業時には22歳です.
・大学院
大学院は2段階の課程に分かれます.
1段階目は修士課程で,2年間です.現状,この修士課程を修了した時点で卒業する人が多いです.
高校卒業からストレートで進んだ場合,修士卒業時に24歳になります.
2段階目は博士課程で,修士課程を卒業した後に進むことができます.博士課程は一般に3年間であることが多いです.また,修士課程と博士課程を一貫で5年間とするところもあります.
何するの??
基本情報の最後に,簡単に大学と大学院におけるやることの違いについて紹介します.
大学(学部):専門分野について講義や授業を中心に学ぶ
大学院:学部で学んだ知識を活かして研究活動を中心に学ぶ
学部では,基本的には授業(講義や実習・実験)を行い,専門分野について学びます.ただし,3,4年生になると文系ならゼミ配属,理系なら研究室配属され,卒業論文を書くことで研究に少し足を踏み入れます.
大学院では,学部と違って授業よりも研究活動に力を入れるところがほとんどです.実験や学会発表などの研究活動を行い,修士論文を執筆し卒業します.ただし,学部よりは少ないものの,大学院でも授業はあり,単位を取らなければなりません.
それでは,以降で授業,研究,入試,就活の面から大学と大学院の違いについて見ていきましょう.
授業
・大学
大学の学部生は,4年間かけて授業や実習・実験を通して必要な単位を取得していきます.
大学にもよりますが,多くの大学では卒業の条件として128単位くらいの単位取得が必要です.
一つの授業の単位は2単位のものが多いので,おおよそ64個くらいの授業をクリアすることになります.ほとんどの人は3年生までに単位を取り終わるので,年間約20個くらい,半年で10個くらいの授業を受けることになるでしょう.
ちなみに,大学の講義は1コマ90分です(大学による).
つまり,目安として一日当たり2つの授業に参加することになりますが,1,2年生のときに多めに授業を取ることが多いので,1,2年生ではもう少し多く,3年生ではもう少し少ないと思ってよいでしょう.
学部生が忙しくなるとすれば,,授業やその課題が原因でしょう.もちろん,忙しさは学部や個人の事情によって違います.どの学部が忙しいかが気になる人は,以下の記事をご覧下さい.
・大学院
先ほども述べた通り,大学院では研究活動が主であるものの,授業で単位も取らなければなりません.
必要単位の数は修士課程の2年間で大体30単位くらいです.大学によっては,この単位に研究活動のゼミなどを含む場合がありますので,感覚的には授業あまり多くありません.
また,大学院では授業を受ける側ではなく,授業をする大学教員のサポートなどの「授業をする側」を経験する場合もあります.これは学生の活動というよりは,アルバイトに近いです.
研究
・大学
大学にもよりますが,3,4年生になるとゼミや研究室に配属になることが多いです.ゼミや研究室は,イメージとしては『少人数の研究チーム』です.
このチームは,学部生と大学院生から成り,5人程度の場合もあれば,30人規模の場合もあり,様々です.
ゼミや研究室に配属されると,そのチームで論文を紹介し合ったり,勉強したり,研究の進捗を共有したりします.
学部生は,イメージとしては大学院生と共に研究する中で「研究とはなにか」を体験する感じです.
そして,卒業論文として行ったことをまとめます.
どれだけ研究活動に力を入れるかはその学部や専攻,研究室によって異なりますが,理系の研究室なら学部生でも大規模な実験に参加させてもらえる場合もありますし,学会発表の可能性も十分あります.
・大学院
大学院では,学部よりもいっそう研究活動に力を入れます.
大学院生が行うこととしては,例えば以下のようなものがあります.
・実験,解析
・修士論文(卒業のために必要)
・論文執筆(修士論文とは別)
・学会発表
・研究のための勉強
・指導教員(大学教員)の手伝い
・学部生の指導
※どれくらいやるかは,研究室によります.
入試
ここでは,大学入試と大学院入試について紹介します.
大学院に入学したい場合には,大学院入試を受けなければなりません.
意外に思う人もいるかもしれませんが,通っていた大学の大学院に進む場合にも,基本的に入試はあります(例:東京大学→東京大学大学院).
入試形態について
学部入試のときは筆記試験を受けたひとがほとんどだと思いますが,大学院入試の形態は様々です.
筆記試験を行うところもあれば,面接だけのところもあったり,小論文を課すところもあります.大学教員たちの目の前で説明しながら問題を解く口述試問で入試をしているところもあります.
それゆえ,大学院入試ではその大学院特有の対策が必要となります.
難易度について
大学院入試の倍率は大学入試のときの倍率よりも基本的には低く,基本的には入りやすいとされています.
その理由は,ほとんどの人は学部を卒業したら就職し,大学院に進学するひとが少ない一方で,大学院の定員は学部と同じくらいであるためです.
※とはいえ人気な大学院は倍率はそこそこ高いので,一概には言えません.
入試の違いについては以下の記事により詳しくまとめてあるので,気になる方は是非見てください.
就活
最後に,学部生と大学院生の就職事情について紹介します.
とはいえ,学部生と大学院生の就活の仕方についてはほとんど差はありません.
気になるのが「大学院に進学したら就職に有利になるのか否か」だと思いますが,一概には言えないので,ここから先は筆者の個人的な意見で述べます.
正直なところ,文系大学院生は学部生よりも企業への就職に不利になると思います.もちろん,文系大学生でも一流企業へ就職するひとはいますが,全体的に見て不利になる傾向があると思います.
ただし,これはあくまで「企業への就職」が不利になるだけで,他の仕事に不利になるとは限りません.
そもそも,弁護士になりたいのであれば法科大学院(ロースクール)に進学せざるを得ませんし,公務員になっている文系大学院卒の人もたくさんいます.
一方で,理系大学院生は学部生よりも企業への就職がしやすくなる傾向にあると思います.特に,メーカー企業への就職が強くなります.
日本の会社は製造業に関わることが多いので,必然的に理系大学院生は就職に強くなるでしょう.
もちろん,これも一概には言えず,学部のときに就職しておいた方が良かった,というケースもあります.
文系でも理系でも,大学院生ならば学部生よりも高いレベルで面接されると思うので,大学院に進む場合は学部生よりも成長しなければならないことを留意しましょう.
理系と文系の就活について興味がある人は以下の記事をご覧ください。
※本記事は一大学院生(理系・修士)が執筆した者であり,個人的な意見も一部入っています.
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