※この記事は、物理をあまり知らない人でも読めるように噛みくだいています。もっと詳しく知りたい方は、【上級編】ダークマター アクシオン へどうぞ!
未だ、正体が明らかにされていない、「ダークマター」。
今回は、未知なる「見えない物質」ダークマターについてみていきましょう。
皆さんは、宇宙に存在している物質が、科学的にどれくらいわかっているか知っていますか?
実は現在、宇宙に存在している物質のうち、正体が分かっているのは約5%しかないのです。
皆さんが中学生、高校生のときに「スイ、へー、リー、ベー、ボクノフネー」と習ったあれらの元素は、全部合わせても宇宙の5%に満たないのです(この時点で、発見されている元素は118個)。
では、他の95%は何でできているのでしょうか?
正体不明の物質「ダークマター」
残りの95%のうち、27%は「ダークマター(暗黒物質)」と呼ばれ、68%は「ダークエネルギー」と呼ばれています。
今回は、「ダークエネルギー」については触れません。
暗黒物質と聞くと、なんだか禍々しいですね。
ダークマターは、光を発さず、「目に見えない」物質で正体不明なことから、このような名前が名付けられています。
ダークマターの正体については、昔から色々な研究がされ予想がされていますが、いまだに実験的に正体が認められていません。
なぜ、宇宙に95%もの未知のものがあるとわかったかというと、簡単に言えば、「実験的に宇宙を観てみたら、理論と全然合わなかった」からです。
宇宙の全体について知られていなかった当初は、目に見える物質だけ数えたらこれくらいの質量になるはず、と予想されていたわけですが、
思っていた(理論から予測される結果)よりも、たくさんの質量が観測され、宇宙には目に見えない「何か」があると考えるしかなかったのです。
その「何か」がダークマターです。
ダークマターはこの世に27%も存在しており、机やひとなど、目に見えるものの5倍以上もの謎の物質が、
あなたの周りを漂っているわけです!

ダークマターの候補
ダークマターの正体については、実験的に明らかにされていないものの、様々なモデルが予想されています。
ダークマターの有力候補には、ニュートラリーノ(WIMP)、アクシオン、(ニュートリノ)などがあります。
簡単な区別として、ニュートラリーノは重い(エネルギーが高い)素粒子、
アクシオンは軽い(エネルギーが低い)素粒子です。
素粒子とは、それ以上分割できない最小単位の物質のことで、素粒子には電子や光子などがあります。
今回は、このダークマターの有力候補のうち、「アクシオン」についてです。
ダークマターの有力候補のひとつ、アクシオン
アクシオンは宇宙初期に非熱的に数多く生成された粒子 です。
電子はマイナスの電気、陽子はプラスの電気を持つのに対して、アクシオンは電気的に中性です。
つまり、アクシオンはプラスでもマイナスでもなく、電気をもたないということですね。
アクシオンの質量は、10のマイナス39乗キログラム以下と、超軽いです。つまり、0.000000000000000000000000000000000000001 kg以下です。軽いでしょ?
アクシオンが発見されれば、QCDという、ある理論体系の「問題点」を解決できます。
さらに、アクシオンが発見されるということは、この問題が解決され、物理学の発展になるとともに、
ダークマターの正体が明らかになるという、非常に発見が期待される、すごい粒子なのです!!
アクシオンの性質として、「磁場をかけると、たまにアクシオンは光に変わる」というものがあります。
この性質を利用してアクシオンを実験的に発見しようと、いくつかの実験がされています。
さあ、みなさんも今すぐ磁石をもってきて、空間に磁場をかけ、アクシオン発見を試みましょう!
では、今日はここまで。より詳しく知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
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